帯状疱疹を治す!薬の選び方と最新の対策とは!?

帯状疱疹

 

はじめに

 

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、痛みを伴う発疹や水ぶくれができる皮膚の病気です。

 

日本人の5〜7人に一人はかかると言われている身近な病気ですが、正しい知識を持っている人は意外と少ないかもしれません。

 

悪化すると長期間に渡り、強い痛みに悩まされることもある厄介な病気でもあります。

 

ポイントは早期発見、早期治療。発症のメカニズムを理解し、正しい予防策、治療法を知っておくことが大切です。

 

 

帯状疱疹って何? 

 

子供の頃に水ぼうそうにかかった人は、水ぼうそうが治っても体の中に水ぼうそうのウイルスが残っています。

 

このウイルスは、脳や脊髄の神経節と呼ばれる神経と神経のつなぎ目のような場所に入り込み、長い間潜伏しています。

 

体の免疫力によりウイルスの活性化が抑えられていれば、特に体に悪影響は及ぼしません。

 

しかし、加齢や疲労、ストレス、日光の刺激などにより免疫力が低下すると、水ぼうそうウイルスが再び活性化し始めます。これが帯状疱疹の発症のメカニズムです。

 

水ぼうそうと違う点は、ウイルスが神経に沿って動き回ることにより、神経細胞を刺激、破壊し、強い痛みを感じることです。また、ウイルスが皮膚表面まで出てくると、発疹となって現れます。発疹が体の特定の部分に帯状になって現れるのは、ウイルスが神経の流れに沿って動いていることによるものです。

 

帯状疱疹が良く出る部位は?

 

顔や胸、腹、手足など、身体のどこにでも現れます。

 

発疹は身体のどちらか一方にだけ、神経の流れに沿って現れるという特徴があります。

 

発疹は小さな水ぶくれがグジュグジュっと固まりを作りながら、帯状に複数個所現れます。

 

同じ場所に繰り返し発疹が出ることは普通ありません。

 

一度良くなった場所にまた新たな発疹ができた場合には、それは帯状疱疹ウイルスによるものではなく、単純性発疹の可能性が高いでしょう。

 

かつては一生に一度しかかからないと言われていましたが、最近では2回かかる人も増加しています。疑わしい症状があれば早めに受診するように心がけたいですね。

 

 

帯状疱疹の種類は?

 

発疹の現れる場所によって症状の違いがあります。

 

背中、お腹などにできた場合は体を動かしたり、洋服が擦れたりした場合に痛みを感じることが多くあります。

 

頭、顔などにできた場合は、目や耳への影響が心配です。顔面神経麻痺になったり、目の中にウイルスが入ると角膜がダメージを受けたり、耳の場合は内耳に悪影響が出たりします。

 

また陰部にできることもあり、その場合は排尿障害などが懸念されます。

 

耳などから脳へウイルスが入ってしまった場合は命の危険もあるため要注意です。

 

初期症状として現れる痛みは「神経痛様疼痛」といって、通常は発疹がひくと痛みも治まってきますが、治療開始が遅れたり、症状が悪化してしまうと「帯状疱疹後神経痛」という後遺症が残ることがあります。

 

 

帯状疱疹の症状とは?

 

多くの場合、最初に気づく症状は「ピリピリ」「チクチク」といった痛みやかゆみです。

 

その時点ですでに発疹が出ている場合もありますが、まだ皮膚には何も変化が現れていないことがほとんどです。

 

発疹が現れる前に痛みが生じた場合は診断が難しく、整形外科や脳神経外科などを受診して原因が分からないと言われてしまうこともよくあります。

 

痛みが4〜5日ぐらい続くと、痛みやかゆみを感じた場所に赤い発疹や水ぶくれが出てきます。

 

発疹は体の左右どちらか一方にだけ現れ、神経の流れに沿って帯状に広がっていくことが特徴です。

 

痛みには個人差がありますが、強い痛みを感じる人が多く、中には眠れないほど激しい痛みに悩まされる人もいます。あまりの痛さに「これは単なる虫刺されやかぶれとは違うのでは?」と気づき、受診する人が多いようですね。

 

受診すると、ウイルスの働きを抑えるための抗ウイルス薬が処方されます。通常は2週間ほどで症状が落ち着き、発疹はかさぶたになり自然と治癒に向かいます。ただ、発疹が消えた後も、帯状疱疹後神経痛として痛みが残る場合が多くみられます。

 

 

帯状疱疹が悪化すると?

 

帯状疱疹が悪化すると長期間、痛みや不快感などの辛い後遺症に悩まされることがあります。

 

一番厄介なのは「帯状疱疹後神経痛」という神経痛が残ることです。辛い痛みに悩まされ、眠れない、服が擦れるだけでも痛いなど、日常生活にも大きな支障をきたすこともあります。

 

長引いてしまうと数ヶ月、中には数年間も痛みに悩まされるケースもあります。

 

発疹が長引いたり悪化したりすると、皮膚表面が凸凹になったり、色素沈着が起こったりすることもあります。特にお年寄りは症状が長引きやすく、帯状疱疹後神経痛にもなりやすい傾向があります。

 

顔面に発疹が現れた場合も注意が必要です。

 

目の周辺に発疹が出た場合、角膜にウイルスが入ってしまうと、最悪の場合失明する恐れもあります。

 

さらに恐ろしいのはウイルスが脳に達して、髄膜炎や脳炎を引き起こすことです。

 

これは命にかかわることもあるため要注意です。頭痛、発熱、嘔吐などの症状がある場合は、必ず医師に相談し、適切な治療を受けましょう。背後に重い病気が隠れている場合もあります。

 

原因に心当たりがないのに急に帯状疱疹を発症した場合は、念のため人間ドッグなどを受けておいた方が安心ですね。

 

 

帯状疱疹の原因とは

 

原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」、つまり水ぼうそうのウイルスです。

 

子供の頃に水ぼうそうにかかった人は、水ぼうそうが治った後も体の中の神経節と呼ばれる部分に水ぼうそうのウイルスを持ち続けています。

 

普段は静かに潜伏しているこのウイルスが、何らかのきっかけで活性化することがあります。体の抵抗力が落ちている時はそのウイルスに体が抗えず、結果として発症してしまうのです。

 

抵抗力が落ちる主な原因は、疲れ、ストレス、そして加齢によるものです。

 

体の抵抗力が落ちてくる50歳以降の人に発症が多いのはそのためです。

 

また一度水ぼうそうにかかると体にはそのウイルスに対して免疫力ができますが、年齢を重ねるにつれてその免疫効果が徐々に低下していきます。このことも、高齢者に発症者が多いことの理由の一つです。

 

 

帯状疱疹の対策とは

 

治療対策の基本は、ウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス薬」の投与です。

 

一週間服用すれば症状が治まってきますが、特に症状が重い場合には点滴をすることもあります。

 

投与において大切なのはタイミングです。治療開始が遅れてしまい、後遺症である神経痛を発症してから飲んでも効き目はありません。

 

とにかく一刻でも早く投与することが望ましく、医師によってはすぐその場で飲んでください、と指示されることもあるようです。

 

痛みが強い場合には鎮痛薬(飲み薬または座薬)を処方してもらいます。塗り薬の抗ウイルス薬もありますが、飲み薬との同時処方は保険診療では難しいため、皮膚の表面を保護するものが出されることが多いようです。

 

発疹や水ぶくれにはウイルスがあるため、決して?きむしったりしないように気を付けます。

 

痛みを抑えようと冷やす人がいますが、冷やすと痛みがかえって強くなるため、冷やすことはやめましょう。また発症する背景には体の抵抗力の低下があるため、十分に休養を取り、栄養バランスのよい食事を摂ったり、ストレスを溜め込まないようにリラックスして過ごすことが大切です。

 

最近は新薬の開発も進み、万が一神経痛になってしまっても、だいぶ痛みが抑えられるようになりました。

 

しかし、どうしても痛みが強く日常生活に支障が出たり、痛みで眠れないような場合は、痛み専門のペインクリニックなどに紹介してもらい治療を受けるケースもあります。

 

ペインクリニックでは神経ブロック療法といって、局所麻酔薬やステロイド剤などで一時的に痛みの伝達を遮断する方法が取られます。

 

 

帯状疱疹の対策!売れている薬とは

 

対策は、医療機関を受診し、医師の診断のもとで適切な治療を行うことが一般的です。

 

治療は抗ウイルス薬の処方、痛みが強い場合には鎮痛剤の併用、皮膚を保護する塗り薬が基本です。鎮痛剤や塗り薬は市販薬でも代用できますが、抗ウイルス薬は市販されていないため、医師の処方箋がないと購入できません。従って、帯状疱疹に効く市販薬はない、というのが現状です。

 

医療機関で処方される抗ウイルス薬は医師によって違うため一概には言えませんが、一般的には次の3つのうちいずれかが処方されています。

 

バラシクロビル(主な商品名:バルトレックス)
アシクロビル(主な商品名:ゾビラックス)
ファムシクロビル(主な商品名:ファムビル)

 

抗ウイルス薬は、発疹が出始めてから48時間以内に使い始めないと効果が出にくいため、一刻でも早く治療を開始することがポイントです。また症状が重い場合には、入院して点滴で治療を行うこともあります。バルトレックスとゾビラックスにはジェネリック医薬品(後発品)も出ています。

 

また、塗り薬、鎮静剤を併用することが多くあります。

 

抗ウイルス薬の塗り薬
ビダラビン軟膏(主な商品名:アラセナA)
アシクロビル軟膏(主な商品名:ゾビラックス軟膏)

 

発疹の痛みを和らげる塗り薬

ウフェナマート(主な商品名:コンベック、フェナゾール)
イブプロフェンピコノール(主な商品名:スタデルム、ベシカム)
ベンダザック(主な商品名:ジルダザック)

 

痛みを和らげるための飲み薬

NSAIDs(エヌセイズ)(主な商品名:ロキソニン)
アセトアミノフェン(主な商品名:カロナール)

 

 

発疹により皮膚がただれてしまったり、化膿してしまった場合には細菌感染を防ぐためにゲンタシン軟膏など、抗生物質を含む軟膏が処方されることもあります。

 

また、発疹の後の治りを良くし、皮膚の再生を促すためにアクトシン軟膏なども使われています。

 

どうしても医療機関を受診できない場合は、緊急対応としてロキソニン(痛みを和らげる)、アラセナS軟膏・クリーム(抗ウイルス塗り薬)などの市販薬を使うことも可能です。

 

 

帯状疱疹の予防とは

 

原因となるウイルスを抑えるワクチンを接種することで、帯状疱疹の発症を抑えたり重症化を防いだりすることが可能です。

 

しかし現在、水ぼうそうの予防目的でのみ、使用が認められており、帯状疱疹の予防目的としては認可されていません。

 

ウイルスの活性化を防ぐには身体の免疫力、抵抗力を高めることです。

 

加齢は防ぐことができませんが、疲れやストレスを溜め込まない、栄養バランスのよい食事をとるなど、身体の調子を整えることは予防にもつながります。

 

帯状疱疹は人にうつることはありませんが、水ぶくれのところにはウイルスがたくさんいるため、水ぼうそうにかかったことがない人が触れてしまうと、水ぼうそうとして発症することがあります。

 

発症している時は小さなお子さんとの接触などはできるだけ控えるようにしましょう。

 

 

帯状疱疹と似ている病気

 

発疹は虫刺されやかぶれ、あせもなどとよく似ています。

 

初期段階の発疹は数も少なく痛みもさほど強くないため、ここで帯状疱疹を疑うことは困難かもしれませんね。

 

ただ気を付けなければいけないのは、この初期の発疹を単なる虫刺されなどと思い込み、市販のかゆみ止めなどを塗ってしまうことです。

 

かゆみ止めに含まれるステロイド剤は赤みやかゆみを抑えてくれる一方で免疫力も抑えてしまうため、かえってウイルスが増えてしまうのです。

 

また、顔面に症状が出た場合には、眼球に痛みや充血が見られることがあります。単なる疲れ目や異物が目に入った時の症状によく似ています。

 

皮膚の症状とは違うため、その場合は眼科も併せて受診する必要があります。

 

 

まとめ

 

帯状疱疹は、誰がいつかかっても不思議ではない身近な病気です。

 

水ぼうそうのウイルスが原因で、体力が落ちて免疫力が低下している時などに発症しやすいものです。

 

症状が軽いうちに適切な治療を受ければ、さほど面倒な病気ではありませんが、初期は虫刺されやかぶれなどの単なる皮膚病となかなか見わけが難しく、激しい痛みが出てきてから受診することが多いため、「痛くて厄介な病気」として認知されているかもしれませんね。

 

悪化すると長期にわたる神経痛に移行する場合もあるので、早期の受診が望まれます。

 

また、医師の処方箋が必要な抗ウイルス薬が治療の基本となり、市販薬はありません。

 

ですので、知識を正しく持ち、体の異変に気付いたら自己判断をせずに早めに医療機関を受診しましょう。

 



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