あせもを治す!薬の選び方と最新の対策とは!?
はじめに
赤ちゃんや小さな子供を持つ親にとってあせもは悩みの種ですが、子供特有のものではなく、大人にもできる皮膚疾患です。
肌がかゆくなったりヒリヒリしたり不快なだけでなく、掻きむしって悪化させてしまうと化膿したり、肌に跡が残ってしまったりすることもあります。
あせも対策は正しい知識を知ることから始まります。あせもの原因、治療法を知ることで夏でもあせも知らずの肌を保てるようにしたいものですね。
あせもって何?
汗をかいた時に、垢や脂肪、ほこりなどの汚れが汗の出口を塞ぎ、蒸発できなかったために起こる皮膚の炎症のことです。
正式には「汗疹(かんしん)」といいます。
主に乳幼児や子供に見られる症状ですが、大人にも発症することのある、ごく一般的な皮膚疾患です。
特に発症しやすいのは夏です。高温多湿の場所に長時間いたり、激しい運動をして大量の汗をかいた時、通気性の悪い服を着た時などに発症しやすくなります。
逆に冬場など気温が低く乾燥している時期にはあまり発症しませんが、乳幼児の場合は肌がデリケートな上に大人よりも体温が高めで汗をかきやすいため、通年通して発症することもあります。
あせもが良く出る部位は?
汗をかきやすく蒸れやすい部位である頭、顔、首周囲、背中、お尻などによく見られます。
赤ちゃんは特に首回り、脇、背中(床に接している部分)、お尻(オムツの中)などに発症しやすいため、よく注意して見てあげる必要がありますね。
大人の場合は肌と肌が接したり擦れたりする部分に発症しやすく、特に肉付きのよい人は脇の下やお腹周りなどに症状が出やすくなります。
あせもの種類は?
3種類あり、それぞれ症状が違います。
水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
透明または白っぽい水ぶくれができます。赤みやかゆみはなく、自覚症状もほとんどありません。
紅色汗疹(こうしょくかんしん)
かゆみを伴う小さな赤いブツブツができます。一般的にあせもと呼ばれるのはこれです。
深在性汗疹(しんざいせいかんしん)
青白く平らな形状の湿疹です。熱帯地方などで見られることが多く、日本国内では比較的少ないケースです。
あせもの症状とは?
症状は、その状態によって3つに分けることができます。
水晶様汗疹:表皮の一番上層の汗の管が詰まってしまい、蒸発できなかった汗がその下に溜まることにより発症します。この段階は透明で、小さな水泡ができています。水泡は軽く押すとつぶれます。
紅色汗疹:表皮の内層で汗の管が詰まってしまい、汗が表皮や真皮内(有棘層)に溜まった状態です。ちくちくとした刺激があり、かゆみを伴います。いわゆる「あせも」の症状はこれを指します。
深在性汗疹:表皮直下の真皮内に汗がたまった状態です。赤みやかゆみはほとんどないことが多いのですが、体内に熱がこもってしまうため、熱中症を起こしやすくなります。高温多湿のところで長時間働いたり体を動かすような仕事をする人などに発症することがあります。
あせもが悪化すると?
悪化すると、夜も眠れないほどかゆみが強くなることがあります。
大人は触らないように気を付けることができても、赤ちゃんや小さな子供は我慢できずに掻きむしってしまいがちです。
掻きむしってしまうと、細菌感染による化膿やとびひになってしまうこともあります。
とびひの水疱が破れてしまうと菌が他の場所に移り、そこにまた新たな水疱ができてしまいます。
他人にもうつるため注意が必要です。症状がひどくなる前に早めに医療機関を受診し、きちんと治療しましょう。
あせもの原因とは
原因は、皮膚の内部に溜まった汗です。
大量に汗をかくと皮膚が汗に対応しきれなくなり、汗を分泌する汗管が詰まってしまいます。
すると蒸発できない汗が溜まり、皮膚の下にある汗管周辺の組織に漏れ出すことにより皮膚が盛り上がり、かゆみや炎症、水ぶくれなどを引き起こします。汗管は肌に付着した汚れやほこり、分泌された皮脂などで詰ることもあるため、肌を不潔にしたままで汗をかくと発症しやすくなります。
あせもの対策とは
対策の基本は、外用薬を用いる薬物治療です。
かゆみを伴う場合は即効性のあるステロイド剤の外用薬で症状を抑え、掻き壊すことを防ぎながら症状が治まるのを待ちます。
ステロイド外用薬を使いたがらない人もいますが、ステロイドは皮膚疾患のかゆみや辛さを早期に和らげてくれる有効な手段です。
自己判断で使うと副作用が生じることもありますが、医師の指導のもとで適量を正しく使えば、必要以上に恐れなくても大丈夫です。
膿包性汗疹になってしまった場合は、抗生剤を使用します。
症状がひどい場合は切開して膿を出すこともあります。
自分で膿を潰したりすると、そこからバイ菌が入り、さらに悪化させてしまう恐れがあるのでやめましょう。
水晶様汗疹はごく初期の軽い症状のあせものため、特別な治療を行わなくてもほとんどが自然に治ります。肌を清潔に保ち、なるべく汗をかかないようにして回復を待ちましょう
あせもの対策!売れている薬とは
治療薬には大きく分けて「液体タイプ」「クリームタイプ」「軟膏タイプ」の3種類があります。
それぞれにメリット、デメリットがあるので、症状や使いやすさにて応じて、以下のようなおすすめの市販薬を使用するとよいでしょう。
「メンタームペンソールSP」(近江兄弟社)
ローションタイプのステロイド外用薬です。スポンジを肌に当てて塗るので液だれがなく塗りやすく、速乾性があります。スッとした使い心地が特徴です。赤ちゃんのお肌には刺激が強いため、小学生以上からの使用がおすすめです。
「レスタミンコーワパウダークリーム」(興和)
かゆみを鎮める抗ヒスタミン成分、炎症を抑えるグリチルレチン酸などが配合され、優れた効果を発揮します。クリームを塗った後のべたつきがなく、パウダーをつけたような爽やかな使用感です。
「ピジョン薬用ローション ももの葉」(ピジョン)
赤ちゃんにも使える優しい処方です。もちろん大人もOK。皮膚科医による皮膚刺激性テスト済。とろみがあってぬりやすいローションタイプです。潤いを与えながらサラサラとした肌を保つことができます。
「オイラックスPZ」(第一三共ヘルスケア)
アンテドラッグステロイド成分配合で、辛い痒みや炎症に効果があります。軟膏タイプとクリームタイプがあります。基本的には赤ちゃんから大人までOKです。
「ポリベビー」(佐藤製薬)
赤ちゃんにおすすめの肌に優しい軟膏です。痒みを鎮める抗ヒスタミン剤、治りをサポートするビタミンA、D2、酸化亜鉛、細菌の感染を防ぐ殺菌剤も配合されています。もちろん大人でも使えます。
「新レスタミンコーワ軟膏」(興和)
有効成分のジフェンヒドラミンが2.0%配合(市販薬としての配合最上限)されており、かゆみを抑え、すぐれた効き目を発揮します。やわらかく塗り拡げやすい軟膏タイプで、白くなりにくいことも使いやすさのポイントです。
「アセモスチール」(大昭製薬)
軟膏タイプですが、塗った後はパウダー状になるため、ジュクジュクした患部を乾燥させ、サラサラに保ちます。軟膏とパウダーの特徴を併せ持った軟膏です。
「ベトネベートN軟膏AS」(第一三共ヘルスケア)
掻き壊してしまい、化膿したあせもにおすすめ。ステロイド成分と抗菌作用のある抗生物質が配合されているため、ジュクジュクした患部にも使用できます。
「ユースキンあせもジェル」
有効成分グリチルリチン酸ジカリウムが炎症を起こし敏感になっている肌を改善し、かゆみや痛みを抑えます。さらに3つの植物エキス(ももの葉、アロエ、しその葉)が肌に潤いを与えます。水溶性ジェルでべたつきがなくさっぱりとした使い心地です。
「アセモアパウダースプレー」(小林製薬)
知覚神経に作用して痒みを感じにくくさせる局所麻酔成分と、炎症を抑制する抗ヒスタミン成分で症状を緩和させます。無香料無着色。吸湿性が高いパウダータイプのスプレーでサラサラとした使い心地です。
あせもの予防とは
あせもの予防対策には次の3つのポイントがあります。
1:汗をこまめに拭きましょう
皮膚の上に汗を残さないことが対策の鉄則です。汗をかいたら濡れタオルなどで優しくふきとりましょう。特に乳幼児の場合、脇の下や首回り、背中、お尻などに汗をかきやすいので意識してまめなお手入れを心がけます。
2:シャワーと着替えで清潔に
シャワーの回数を増やす場合、毎回石鹸で洗うことは避けましょう。一日に何度も石鹸を使って洗うと、皮膚のバリア機能が弱まってしまいます。石鹸は一日1回の使用で充分です。サッと水で流すだけでも効果があります。着替えは汗を吸い取りやすいガーゼや綿素材を。爪でかいてバイ菌が入らないように、爪は短く切っておきましょう。
3:エアコンを上手に活用しましょう。
汗をかかない程度に使用するとよいでしょう。室温20〜24℃度、湿度50〜60%ぐらいに保つのが理想的です。涼しく乾燥したところで、あまり汗をかかないようにすれば対策は万全です。
赤ちゃんは大人より体温が高めなので、一年通してあせもになりやすく、特に念入りな予防対策が必要です。汗をかきやすい場合は襟付き、袖付きの服を着せてあげるとよいでしょう。ゆったりした服は見た目は涼し気ですが、汗を素早く吸収するためにはむしろ肌にフィットしたものがおすすめです。冬場は室温の上がり過ぎに注意し、厚着や布団のかけすぎにも気をつけましょう。ベビーパウダーの使用は、皮膚を乾燥させ汗の蒸発を促すため、予防対策としては効果的ですが、発症後は汗の出口を塞ぐので逆効果になります。
あせもと似ている病気
皮膚カンジダ症
皮膚カンジダ症とは、カンジダ・アルビカンスというカビの一種が皮膚に感染して炎症を起こすものです。
赤い細かい発疹がよく似ていますが、皮膚カンジダ症は広い範囲で皮膚が赤くなり、その周囲に薄いオブラートのようなうろこ状の皮が見られることが特徴です。悪化すると皮がむけたり、小さな膿を持つこともあります。
皮膚カンジダ症にあせもの薬を使うと悪化してしまうため注意が必要です。
伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)
いわゆる「とびひ」のことです。原因は虫刺されや引っ掻いてできた傷からブドウ球菌や連鎖球菌などが感染したものです。
特に子供に多く、薄い膜の小さな水疱ができ、次第に数が増えていくことが特徴です。
水疱が破れて中の水が出てくるとジュクジュクとしてきますが、かゆみを伴うため、どうしても掻いてしまいがちです。かいた手で他の人を触ったりすることで感染してしまうため注意が必要です。
脂漏性湿疹
赤ちゃんの場合は、脂漏性湿疹との区別が難しい場合があります。
少しはっきりしたニキビのような発疹が特徴で、おでこや首回りに多く見られます。
自然に治ってしまうことが多く、さほど心配いりませんが、炎症を起こしてしまったりした場合は念のため受診した方が安心ですね。
異汗性湿疹
手のひらや指の先、足の裏などに小さな水ぶくれなどがみられる異汗性湿疹も似ています。
発症する場所の違い、肌の乾燥、水ぶくれなど、違う点に注目すると見分けることができます。
また、これを水虫と勘違いすることもあります。多汗症の人に多く見られ、ステロイドと尿素成分の入っている保湿クリームなど、あせもとはまた別の薬で治療することが必要なため、なるべく早く診断を受けることがポイントです。
まとめ
あせもはとても身近な皮膚病で、夏になると必ずできるという人もたくさんいます。
かゆみもあり不快な症状ですが、涼しい場所で過ごしたり、暑い季節が終われば自然に治ってしまうことも多いため、あまり深刻に考えることもないかもしれませんね。
しかし、中には悪化させてしまって治りが悪くなったり、とびひや脂漏性湿疹などの別の皮膚病だったりということもあります。
汗をふいたり、シャワーで清潔にしたりという予防対策に力を入れ、できるだけならないように過ごしたいものですね。また、できてしまった場合にも、たくさんの治療薬が販売されています。
本当に様々なものが売られており、赤ちゃんから大人まで使えるものが多いです。ステロイドはかゆみを早く和らげてくれますが、副作用が心配な方は医師の指導のもとで正しく使えば大丈夫です。
あせもは、原因や予防策、治療法なども明確なので、正しい知識を持っていれば怖い病気ではありません。